第24話

案の定、ほかの店員が冨樫に気づく。


「葉月ちゃん、雑誌コーナーにいる人、ヤクザだよね、気をつけてね」


葉月は雑誌コーナーに目を向けると、驚きを隠せなかった。


そこに立っていたのは紛れもない冨樫の姿だった。


冨樫さん、カッコいい。


いやいや、見惚れてる場合じゃない、偶然?


でも一人?


ヤスシさんは一緒じゃないの?


そして、外に目を向けると、道を挟んだ場所の看板の影にヤスシの姿があった。


えっ、ヤスシさんが冨樫さんを見張ってるんだ。


葉月は自分が見張られているとは思いもしなかった。


冨樫はチラッと葉月に目を向けた。


と、その時葉月と目が合ってしまった。


やべえ、見つかった。


それはそうだろう、誰がどう見てもバレバレだ。


冨樫は雑誌を一冊手に取ってレジに向かった。


「いらっしゃいませ、袋はどうなさいますか」


「ああ、くれ」

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