第五章 雅也の想い

第23話

そんなこととは知らない葉月は、まずアパートを探した。


葉月は毎日泣いていた。


こんなにも冨樫に惹かれていた自分は想像以上だった。


でも、冨樫さんは私のために、人の道を外れてしまう。


そんな目には合わせられない。


私が我慢しなくちゃ……


葉月は近くのコンビニでアルバイトをはじめた。


ヤスシは冨樫に報告を入れた。


「若頭、葉月さんはコンビニでアルバイトを始めました」


「そうか、お前、葉月に見つからないようにしろよ」


「わかりました」


冨樫も葉月の働いているコンビニに足を運ぶ。


ヤスシに見つからないようにと忠告した本人が、まさかの店の中まで入ってしまった。


冨樫は長身でスタイル抜群だ。


黒のスーツをパリッと着こなし、カッコいい。


冨樫本人は控えめのつもりだが、どこからどう見ても極道者だ。


「若頭、店の中まで入っちゃったよ、もうバレバレじゃん」


ヤスシがため息をつく。

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