第22話

「若頭、葉月さんを止めてください」


「ヤスシ、いいだ」


「よくありません」


ヤスシは慌てて葉月の腕を掴んだ。


「葉月さん、葉月さんがここを出ていったら、若頭はまた元に戻ってしまいます」


「ヤスシ、大丈夫だ、葉月のしたいようにさせてやってくれ」


ヤスシは二人を見比べて、狼狽えていた。


ガチャっとドアが閉まる音がして、葉月はドアの向こうに消えた。


がっくりと項垂れているヤスシを冨樫が手招いた。


「ヤスシ、葉月に気づかれないように後を追え、今晩はホテルに泊まるだろう、

そのあと、アパートを探すだろうから、葉月にピッタリと張り付いて逐一報告しろ」


「若頭、葉月さんを諦めたんじゃないんですね」


「バーカ、あたりめえだろう」


俺は葉月を解放してした。


しかし、諦めたんじゃねえ、葉月は自分を卑下して俺の前から姿を消そうとしている。


今、無理矢理止まらせても、逆効果と睨んだ。


山辺はまだ入院中だ、でも、葉月を一人にさせるわけにはいかねえ。


冨樫はヤスシに葉月を見張らせた。


困っていることがあったら、密かに助けようと考えていた。

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