第15話

ヤスシの言葉に葉月は驚きの表情を見せた。


「どう言うことですか」


「若頭、ずっと……」


「ヤスシ、余計なこと言うんじゃない」


「すみません」


葉月はなんのことだかわからなかったが、冨樫には何か秘密があるんだと推測した。


ヤスシは鼻歌を歌いながら、キッチンに向かった。


冨樫は葉月に向かって、頭を下げた。


「すまねえ、許してくれ、二度と葉月には触れねえ、約束する」


葉月はそれはそれで寂しいと感じた。


冨樫と一緒に過ごす時間は心地よい。


キスも抱きしめられることも嫌ではない。


ただ、忌まわしい記憶が葉月をセックスから遠ざける。

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