第13話

「入れるよ」


葉月は俺だけのものだ、誰にも渡さない。


冨樫は葉月の身体中にキスマークをつけた。


強く、さらに強く吸った。


「いや、痛い、やめて、お願い」


冨樫は葉月の声に我に返った。


感情が昂って葉月の身体を労わることを疎かにしてしまった。


これじゃあ、変態野郎と変わりないじゃないか。


冨樫は慌てて自分自身を抜き、葉月から離れた。


「ごめん、葉月」


葉月は寝室を出て自分の部屋に入った。


強く吸われて、葉月は嫌な記憶が蘇ったのだ。


冨樫と葉月はグッと二人の距離が接近したのに、葉月の嫌な記憶が二人の間に溝を作った。


冨樫は朝まで一睡も出来ずにいた。


葉月の部屋をノックする、しかし応答はない。


葉月に声をかけるが、返事はなかった。


「おはようございます」


そこへヤスシが食材を持って朝食を作りにやってきた。

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