第9話

「こないでください」


俺はドアの前で待機していた。


ドアの向こうから葉月の啜り泣く声が聞こえてきた。


「葉月、開けるぞ」


俺は強引にドアを開けた。


葉月はバスタオルにくるまり、脱衣所の隅で丸まっていた。


俺の顔を見るなり、葉月は「ごめんなさい、ごめんなさい」と必死に謝っていた。


「葉月、どうしたんだ」


「もう、やめて、お願い」


俺は混乱している葉月をギュッと抱きしめた。


「何もしない、落ち着け、大丈夫だ」


葉月は身体を震わせて、泣きじゃくっていた。


しばらくして、葉月は落ち着きを見せた。


葉月は俺にギュッとしがみついてきた。


俺は葉月にキスをした。


心臓の鼓動がバクバク音を立てた。


俺は服を脱ぎ、葉月を抱えて、バスタブに浸かった。


「冨樫さん、バスタオル濡れちゃいます」

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