第7話

「よかった」


雅也は身体のあざのことは葉月の口から語られるまで黙っていることにした。


ヤスシは早速キッチンで食事の支度を始めた。


「お嬢さん、苦手な食べ物ありますか」


「いいえ、私はなんでも頂けます」


「偉い、若頭、聞きましたか、なんでも頂きますなんて、作りがいがありますよ」


「いいから黙ってつくれ」


「冨樫さんは苦手なものあるんですか」


「あるなんてもんじゃないですよ、野菜全般苦手なんです」


「ヤスシ、口じゃなく手を動かせ」


葉月はクスクス笑っていた。


不思議な気持ちに包まれて、俺は戸惑いを隠せなかった。


食事が終わって、葉月を引き留めてる俺がいた。


「帰るところないなら、ここで一緒に暮らさないか」


俺の言葉にヤスシは驚きの表情を見せた。


「若頭、ちょっといいですか」


「なんだよ」


ヤスシは俺を廊下に呼び出した。

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