第3話

ヤスシはそう言って、自分の股間を抑えた。


「どうした」


「だって、このお嬢さん、こんなに可愛い顔してるのに、胸デカくてやばくないですか」


俺は大きなため息をついた。


「全くお前は……」


「若頭は欲情しないんですか」


「お前、完璧にオスだな」


「自分は男です、デカい胸は大好きなんで……」


ヤスシは頭をかきながら照れていた。


俺はいつからだろうか、女に心が動かなくなった。


やはり三年前からか。


俺は三年前、激しい恋に落ちた。


冨樫組の若頭として、純風満帆に人生を歩んでいた。


その時に俺の結婚相手として、側にいたのが望美だった。


俺が二十八歳、望美は二十一歳だった。


望美は山上組の孫娘で、俺との結婚が決まっていた。


冨樫組と山上組は組をひとつにしようと計画していた。


ところが、望美は俺の他に男がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る