第141話

「とにかく開けろ」


亮二はオートロックを解錠した。


健吾は部屋に入ってきた。


「由梨、帰ろう」


「健吾さん」


由梨はにっこり微笑んだ。


(どう言うことだ、由梨の記憶からこいつだけはリセットされないのか)


健吾は由梨の手を掴み、部屋を出ようとした。


「美希、君は僕の妻だ、そいつについて行くんじゃない」


由梨は亮二に向かって言葉を発した。


「私は健吾さんが好きです、健吾さんと一緒にいたいです」


亮二は愕然とした。


こんなにもはっきりと意思表示を示した由梨を始めて見たのだ。


健吾は由梨を連れて、マンションを後にした。


車に乗り込み、健吾のマンションに向かった。


「由梨、ごめんな、俺はいつもお前を他人任せにして、後悔したはずなのに、同じことを繰り返している、どうしようも無い男だ」


「そんなことありません、こうして私を迎えにきてくれたじゃないですか」


「俺と一緒に居てくれるか」

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