健吾はサエに離婚届にサインをもらって、提出するだけの状態だった。

早速、離婚届を提出した。

妻がいる立場では、何も言い返せない。

健吾は、亮二のマンションへ向かった。

亮二は由梨を連れてマンションに戻っていた。

「美希、もう、西園寺健吾のことは忘れて、また僕たちの生活をしよう」

由梨はどうしても健吾のことが気になっていた。

由梨の記憶の中で、唯一無くならないのは、健吾のことだった。

朝になっても健吾のことだけはリセットされなかった。

そんな時、健吾は自分の行動を反省していた。

(俺は何をしてるんだ、由梨の繰り返しの言葉に嫌気が差していた、五年間、あんなにも由梨を求めていたはずなのに、ごめん、由梨、俺はどうしようもない男だ)

健吾は決意していた。

由梨を絶対に守っていくと……

健吾は亮二のマンションに到着すると、インターホンを鳴らした。

インターホンに対応した亮二は画面に映し出された健吾の姿にちぇっと舌打ちした。

「どちら様でしょうか」

「由梨を勝手に連れ出して、どう言うつもりだ」

「妻を迎えに行っただけだが……」

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