その時、健吾は由梨の前に立ち塞がった。

「由梨は嫌がってるんだ、一人で帰れ」

亮二は戸惑っていた。

こんなにも意思表示をはっきり見せた美希ははじめてだったからだ。

この時、由梨は少女のようにウキウキしていた。

雑誌に掲載されていた西園寺さん、会いたいと言う気持ちが強くなって、今は一緒にいたいと思っている、しかもその西園寺さんが自分を守ってくれたように感じた。

「仕方ない、一旦引き上げる、美希に手を出すな、法律上僕の妻だからな」

亮二は引き上げて行った。

(僕の妻？)

「あのう、私、あの人の妻何ですか」

「五年間一緒に生活を共にしてきたから、事実婚が認められて、二人の関係は夫婦と言うことかな」

「私、あの人は知りません、帰りたくありません、西園寺さんと一緒にいたいです」

「由梨」

健吾は由梨を引き寄せ抱きしめた。

「ご迷惑ではないですか」

「迷惑なんてことはない、ずっとここにいろ」

「はい」

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