第134話

そこにインターホンが鳴った。


健吾は亮二だとピンときた。


オートロックを解錠して、亮二を招き入れた。


「美希がお世話になりました」


亮二は健吾に挨拶した。


「納得頂けましたか」


健吾は黙ったままだった。


「美希、帰ろう」


「どなたですか」


「僕と美希は夫婦同然の仲だ、五年も前から一緒に生活しているんだよ」


由梨は健吾の顔を見た。


そして、亮二が由梨に近づき、腕を掴んだその時、その腕を振り払い、亮二に向かって、言葉を発した。


「私、あなたと一緒にいきません」


「美希、何を言っているんだ、西園寺さんにご迷惑だ、君は雑誌を見て、西園寺さんに会いたいと言い出した、住む世界が違う人に興味を持ったんだろう、一晩泊めて頂いて、もう気が済んだだろう?帰ろう」


亮二が由梨の腕を掴むと、由梨は再び抵抗した。


「いやです、私はまだ西園寺さんと一緒にいたいです」


「美希」

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