第105話

(さてと、どうするかな)


一真には女はいない。


(とりあえずホテルに泊まるか)


一真の脳裏には由梨がチラついた。


(はじめましてか)


その頃、一真のマンションでは、由梨が健吾の看病をしていた。


「姐さん、何かありましたら、連絡ください、必要な物はお伝えくだされば、お持ちいたします、決して一人で外に出ないでください」


「はい、でも、私は姐さんではありませんよ」


「では、由梨さん、必ず言いつけはお守りください」


渡辺はマンションを後にした。


その頃、裕也は回復に向かっていた。


由梨は、冷蔵庫に詰め込んである食材で、食事を作った。


「由梨、由梨」


健吾が由梨を呼んだ。


「はい」


由梨は健吾のベッドに近づいた。


「やっと二人になれたな」


健吾は由梨の手を握った。

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