第98話

「若頭、自分の身を守ることを最優先すると約束してください」


「由梨を守ることが最優先だ」


わかっていた。


二度も自分の命を救ってくれた由梨、そして、本気で惚れた由梨。


由梨が健吾の中で一番だと言うことを……


渡辺と健吾は指定の場所に着いた。


渡辺に肩を支えられて、やっとの思いで歩を進めている。


これでは自殺行為と言っても過言ではない。


「ほう、生きておったか」


山本は憎まれ口を叩く。


「由梨を返してもらう」


健吾は山本を睨み返す。


「今の自分の立場をわかっているのか」


「わかってるさ、お前をぶちのめして、由梨を連れて帰る」


山本は大声で笑った。


「その身体で何が出来るんだ」


「俺を潰したいみたいだが、そうしてもお前はトップには立てない」


「はあ?」

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