第97話

山本組長は異常な執着を持っており、健吾に対して、憎しみが半端ではない。


順調に極道街道を進んで行っている健吾と違って、山本は苦労して今の地位を獲得した。


ひよっこに舐められても、じっと我慢していた。


でも、西園寺組の傘下に入ることが決定し、若造にこれから先平伏すと思うと、


我慢の限界だった。


西園寺組のトップは健吾だ。


健吾の父親が組長だが、名ばかりの組長で、健吾が組長就任は時間の問題だ。


健吾を潰せば、自分がトップになれるなどと、血迷った考えに山本組若頭一真は呆れていた。


山本は女にも縁がなく、独身のため、他の組から引っ張ってきた一真を若頭にしている。


一真は頭は切れる、しかも腕っ節が強い。


エリート極道なのだ。


親に捨てられ、孤児院で育った。


身寄りのない一真は生きて行くためになんでもやった。


しかし、唯一女性に対しては優しい。


そんな山本組に健吾は呼び出された。


由梨と裕也を助けるために、重い身体を引きずり指定の場所に向かった。


渡辺はこの健吾の行為は死を意味すると感じていた。


どんなことがあっても健吾を守らなければいけないと決心していた。

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