第94話

そこへ山本が戻ってきた。


「東條、西園寺に連絡しろ、女を返してほしくば、指定した場所に一人でこいとな」


「かしこまりました」


一真が連絡するため、部屋を出た。


山本はニヤッと笑って、由梨に近づいた。


「おい、待ってる間、相手でもしてもらおうか」


山本は由梨を押し倒した。


「いや、やめて」


山本の臭い息が、由梨の首筋にかかった。


「大人しくしろ、西園寺に毎晩抱かれているんだろう」


山本は由梨の両手を押さえつけた。


「助けて」


由梨の声に、一真はドアをぶち破り、由梨から山本を引き剥がした。


「やめてください、大切な人質です」


山本は仕方なく部屋を出て行った。


由梨は涙が止まらなかった。


(ったく、あのエロ親父め)


その頃、由梨と裕也の行方がわからなくなったと西園寺組は大騒ぎだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る