第80話

健吾は意識はあるものの、全身骨折の重症だった。


「山本組、許せねえですね」


怒りを露わにしたのは裕也だった。


「しかし若頭が無事でよかった、若頭の生命力には驚きだな、先生の話だとよく生きていたと感心していた、それに川まであの状態で這って行けたのが不思議だと言っていた」


「姐さんのおかげですね、まさか川の方はまさかの死角でした、さすが姐さん」


「ああ、若頭は二度も姐さんに命を救われたんだな」


渡辺は二人の間に運命を感じていた。


「どうしやすか、山本組に殴り込みしますか」


渡辺は考えていた。


若頭の命が狙われたのは間違いない。


山本組組長は卑怯な方法でまた仕掛けてくる。


姐さんのことも気になっていた。


「とりあえず、様子を見よう」


裕也は渡辺の判断に納得いかない様子だった。


健吾はしばらく眠っていた。


由梨は片時も健吾から離れず、そばにいた。


健吾は時々うなされた。


あの時、後ろから突撃されて、急カーブでハンドルを切り損ない谷底に落ちた。

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