第62話

「だって本当のことだろ、誰に遠慮もなく、お前を抱けるんだ」


「それはそうですけど……」


「お前は俺の妻になるんだ」


「えっ?」


「これは決定事項だ、変更はない、いいな」


(健吾さんったら、嬉しいけど、私は……)


健吾は急いでシャワールームに向かった。


由梨は服を来て、コーヒーとクロワッサンをテーブルに用意した。


寝室に行って、健吾のスーツをクローゼットから出し、靴を磨いた。


健吾はビシッとスーツに着替えると、まるで別人のようにかっこよかった。


昨夜、お互いに乱れた翌朝、大あくびをして、髪はボサボサの状態でも、それはそれで可愛い。


これが生活を共にするってことなのかな。


この時由梨は自分の命の寿命をなんとなく感じていた。


(後、どのくらい健吾さんと一緒にいられるのかな)


由梨は涙が頬を伝わった。

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