第七章 新たな始まり

第48話

由梨は目が覚めると、隣には健吾が眠っていた。


(健吾さん、これで私は健吾さんとの思い出を胸に生きていけます)


この時、由梨は健吾の側から離れる覚悟を決めていた。


廊下に出ると、料亭の女将が挨拶してきた。


「おはようございます」


「あっ、おはようございます」


「西園寺様もお目覚めですか、朝食の用意を致しましょうか」


女将は落ち着いた雰囲気を持っており、信頼出来ると確信した。


「あのう、健吾さんはまだ寝ています、すみませんが、私はここで失礼します、


お世話になりました」


「お帰りですか」


由梨は頷いた。


「西園寺様に言伝はございますか」


「ありがとうございましたとお伝えください」


「かしこまりました」


女将は全てをお見通しのように、裏口を案内してくれた。


裏口を出るとハイヤーが待機しており、由梨はその場を後にした。


その頃、健吾は由梨を手探りで探した。

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