第44話

しばらくすると健吾がシャワールームから戻ってきた。


「由梨もシャワー浴びてこい、食事に行くぞ」


「はい」


それから二人で食事に出かけた。


当たり前だが、西園寺組組員がずらっと並んでいる中で、料亭で食事をした。


お互いに黙ったまま沈黙が続いた。


「私、帰らないと社長が心配します」


「心配?心配なんかしてねえよ、それにまだお前は役割果たしてねえだろう」


「健吾さんが私をベッドに放置したんですよ、処女は嫌ですか」


健吾は黙ったままだった。


由梨は隣の部屋に布団が敷いてあることに気づいた。


いきなり立ち上がり、健吾の腕を引っ張り、布団に押し倒した。


「おい、何やってるんだ」


由梨は服を脱ぎはじめた。


「私のはじめてをもらってください」


健吾は我が耳を疑った。


(今、なんて言ったんだ)


「健吾さんもそのつもりで、この場所に誘ったんですよね」

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