第37話

「若頭、由梨さんの会社に行ってみますか」


「ああ、頼む」


健吾は東條ホールディングスに向かった。


東條ホールディングスのビルに到着すると、健吾は車から降りて、ビルの正面入り口に入った。


「若頭、待ってください、渡辺の兄貴からの連絡を待った方が……」


裕也の言葉は健吾の耳には届かなかった。

健吾はビルの中に入った。


(若頭、入っていっちゃったよ)


健吾は受付を通さずエレベーターのボタンを押した。


「お待ちください、勝手に入っては困ります、アポはお取りになっていますでしょうか」


「アポ?そんなものはねえ、俺は夕凪由梨に用があるんだ」


「こちらで連絡致しますので、お待ちください、失礼ですがお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」


健吾は受付の言葉も聞かずにエレベーターの階数ボタンを押して由梨の元に向かった。


受付はすぐに警備員に連絡した。

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