第35話

東條ホールディングス会長との契約を解除されたら、借金が返せない。


優馬に愛情は全く感じていない、でも、機嫌を損なわれては困る。


「申し訳ありません、社長のフィアンセの自覚を持ち、一生添い遂げます」


「そうだよ、女は素直なのが一番だ」


由梨は心にもない言葉を告げていた。


「これから僕のマンションで暮らせ、アパートの契約は解除した、今ごろ、荷物は僕のマンションに運び込まれている頃だろう」


「そんな……」


「朝は僕の車で出勤し、帰りは一緒に帰る、君の自由はない、いいね」


(西園寺さんに会えなくなっちゃう)


「スマホを出したまえ」


「そんな急に、困ります」


「君に選択肢はない、朝僕と一緒に出勤し、一緒に帰ってくるんだ、つべこべ言わずにスマホを出せ」


由梨は優馬に従うしかすべは無かった。


優馬にスマホを差し出すと、優馬は床に叩きつけて、足で踏みつけた。


由梨のスマホは粉々に無残な状態になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る