第五章 東條優馬の策略

第34話

次の日、由梨は社長室に呼ばれた。


「由梨、最近君の周りを悪い虫が飛んでいるようなんだが、まさか僕を裏切るような真似はしてないと思うがどうなんだ」


「していません」


優馬はタブレットを開き、由梨に見せた。


「これは君だよな」


タブレットの画面には健吾にキスしている由梨の顔が写っていた。


「こんな蕩けた顔しやがって、僕の顔に泥を塗った自覚はないのか」


優馬は怒鳴り声を上げた。


そして、由梨の頬を平手打ちした。


由梨は倒れて、頬を押さえて痛みに耐えていた。


「君が誰と何をしようと勝手だが、僕以外の男にうつつを抜かしているのは、

僕のプライドが許さないんだ」


由梨は俯いて何も言葉がなかった。

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