第31話

「今日はその気にならないだけだ、契約は続ける、飯を作ってくれ、

それにお前も好きでもない極道に抱かれたくはないだろう」


(そんなことはない、私は西園寺さんが好き)


由梨ははじめて自分の気持ちに気づいた。


由梨は食事を作り始めた。


「出来ました」


健吾は黙々と食べ物を口に運んだ。


(うめえ、由梨の料理は最高だ)


健吾は食べ終わると、立ち上がり、ドアの方に歩き出した。


「西園寺さん、もうお帰りですか」


「ああ」


「今度いつ来ていただけますか」


健吾は由梨に背を向けたまま答えた。


「わからねえ」


由梨は健吾の背中を抱きしめた。


「無理すんな」


由梨は健吾の前に回って唇にキスを落とした。

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