第29話

「夕凪様、どうなさいましたか」


「あのう、西園寺さんはいついらっしゃいますか」


「わかりません、若頭の気持ちなので」


「そうですか」


由梨は途方に暮れた。


そんな矢先、由梨の部屋のインターホンが鳴った。


「西園寺だ、開けてくれ」


由梨は勢いよくドアを開けた。


そこには健吾が立っていた。


見つめ合う二人。


健吾が言葉を発した。


「入ってもいいか」


「はい」


健吾は部屋に入るや否や由梨を引き寄せ抱きしめた。


「西園寺さん?」


健吾は由梨から離れた。


「服を脱げ」


健吾の表情は今まで見たことがない、極道の表情だった。

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