第28話

由梨は健吾と契約を結んだ。


いつ来るかわからない、愛のない相手とのセックス。

(私に務まるの?)


それから一ヶ月健吾は姿を見せなかった。


そして渡辺がやってきた。


「こちらが今月の手当てです」


「あのう、私何もしていません、西園寺さんはいらっしゃらなくて、ですから頂くわけにはいきません」


「若頭にも予定があります、この契約は約束ではありません、その点をご理解頂きたいのですが」


渡辺はアパートを後にした。


由梨は寂しいと感じていた。


健吾に甘えられないなんて思っていたが、自分の気持ちをぶつけて


甘えていた。


健吾が自分から離れるようにと酷い言葉をぶつけた。


決して本心ではなかった。


でもいざ、健吾と会えない日々が続くと寂しいと感じていた。


溢れる愛で包んでくれて、目一杯の愛ある言葉もくれた。


由梨は健吾の連絡先を教えてもらっていない。


渡辺のスマホに連絡する様に言われていた。

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