第22話

ゴクンと水は俺の喉を通って、身体に染み渡った。


「もっとくれ」


女はまた、口移しで水を飲ませてくれた。


俺を覗き込む女の顔を俺はじっと見つめていた。


(なんてうまい水なんだ)


救急車が到着するまで、その女は俺の手をギュッと握ってくれていた。


これが俺と由梨の出会いだった。


救急車よりも早く、渡辺は到着した。


「若頭、しっかりしてください」


渡辺は健吾の手を握っている由梨の姿に気づいて頭を下げた。


「若頭が大変お世話になったようで、ありがとうございました」


「いいえ、では私はこれで失礼します」


由梨がその場を去ろうとしたが、健吾が由梨の手を握って離さない。


「あのう、病院までご足労願えないでしょうか」


由梨は一緒に救急車に乗り込み、病院へ向かった。


病院に到着すると、健吾はすぐに緊急手術になった。


健吾は命を取り留めた。


「では、私はこれで失礼します」

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