第15話

「てめえこそ誰だ」


「僕は東條ホールディングス取締役、東條優馬だ、君こそ誰だ、失礼だろ」


「俺は西園寺組、若頭、西園寺健吾だよ」


(ヤクザ)


「由梨、君は僕のフィアンセの立場を忘れてヤクザと付き合っているのか」


「付き合ってなんていません」


健吾はすかさず、言葉を発した。


「俺は口説いてる最中だ、由梨は簡単に許す女じゃねえ」


東條は口角を上げて不適な笑みを浮かべながら由梨をみつめた。


「何をしても構わないが、僕の顔に泥を塗るような真似はしないでくれ、いいね」


東條は車でその場を後にした。


由梨は急いでアパートの階段を上った。


「由梨、待ってくれ」


「もう、来ないでください、東條ホールディングスを辞めさせられることになったら困るんです」


「だから、俺が由梨の借金払ってやる」


「お断りします、西園寺さんに払って頂く理由がありません」


由梨はドアの向こうに姿を消した。


「由梨、由梨、開けてくれ」

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