第14話

そこへ高級車がアパートに近づいてきた。


(誰だ)


車からは誰もおりてくる気配はない。


すると、助手席のドアが開いて、由梨がおりてきた。


この間とは違い、清楚なワンピース姿で、健吾は目を奪われた。


続いて運転席のドアが開いて、男性が降りた。


その男性は由梨に近づき、腕をつかんで身体を密着させた。


由梨の顎を掴み、唇を重ねようとした。


「やめてください」


由梨の嫌がっている様子がうかがえた。


健吾は頭に血が上り、二階の通路から大声で叫んだ。


「てめえ、やめろ」


健吾はアパートの階段を二段飛びで駆け下りた。


由梨の腕を掴んで、その男から引きはがした。


「西園寺さん」


「由梨、大丈夫か」


その様子にその男は言葉を発した。


「おい、君は誰だ、由梨は僕のフィアンセだ、由梨から離れろ」

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