第7話

「ありがとうございます」


裕也は健吾に誉められると嬉しくて仕方ない。


辺りは暗くなり、部屋の灯りがつき始めた。


由梨の部屋のキッチンからも灯りが漏れていた。


いい香りが健吾の鼻をくすぐる。


(やべえ、腹減ってきた)


そこへ、裕也がコンビニの袋を下げて健吾の元にやってきた。


「若頭、おにぎりと唐揚げ買ってきま……いい香りですね、うまそう」


由梨のキッチンの窓に鼻を近づけて、クンクンし始めた裕也。


「お前は犬か」


由梨はドアの向こうでザワザワしている様子が気になり、ドアを開けた。


由梨の目に飛び込んできたのは、通路に座り込んでいる健吾とキッチンの窓に鼻を近づけ


ている裕也の姿だった。


「何をしているんですか」


目をパチクリして由梨は驚きの表情を見せた。


健吾はすぐに立ち上がり、照れ臭そうに頭をかいた。


「すげえ、いい香りがしてるが、何を作ってるんだ」


「肉じゃがです」

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