第5話

「すべて把握しています」


健吾は裕也を質問攻めにした。


「なんで奴は払ってやらないんだ、なんで、こんなボロアパートに住まわせてる」


「若頭、落ち着いてください」


「これが落ち着いていられるか」


「実は東條優馬は女ぐせが悪く、キャバクラの常連です」


「はあ?」


「優馬の親である会長が将来を案じて、彼女に白羽の矢を立てたんです、彼女なら借金を返す為、東條ホールディングスを辞めるわけにはいきません、優馬のフィアンセを引き受けるなら、ずっと働かせると……」


「ということは、俺がその借金を払えば、彼女は自由なんだな」


健吾は車から降りてアパートの階段を上がろうとした。


「若頭、お待ちください」


健吾は裕也の制止も聞かず、由梨の部屋のドアをノックした。


「はい」


由梨の可愛らしい声が聞こえた。


「おい、開けてくれ」


「どちら様でしょうか」


「俺は西園寺組若頭、西園寺健吾だ、俺と結婚しろ」

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