第3話

「おい、裕也、いつになったら、彼女は出てくるんだ」


「就業時間はとっくに過ぎてるんですが、残業でもしてるんですかね」


「残業?」


「ちょっと聞いてきます」


裕也はビルの自動ドアに入っていった。


健吾が車から覗いていると、暫くして裕也が戻ってきた。


「若頭、もう退社したそうです」


「はあ?」


「社員は裏口から出入りするそうです」


「バカ野郎、お前ちゃんと調べたんじゃなかったのか」


「申し訳ありません」


裕也は深々と頭を下げた。


健吾はイライラしていた。


「どういたしますか」


「彼女の住んでるマンションにいけ」


「いきなり、自宅に押し掛けるんですか」


「なんか問題あるのか」


「いえ、それでは向かいます」

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