第2話

そんな私の前に現れたのが、春日部拓真、二十七歳。


春日部コーポレーション御曹司である。


社長であるお父様が倒れて、入院することになった。


一人息子である、春日部拓真が新社長に就任することになった。


そしてこの日、三人の女性社員が呼ばれた。


元々社長秘書を務めていた、山本あずささん、第二秘書を勤めていた前山友紀さん、


そして私、総務部のお局、花園かすみ。


なんで私がここにいるの?


「社長、お連れ致しました」


新社長は、本棚の本を整理していた。


高い脚立から飛び降りて、私を含む三人の女性社員を見比べた。


新社長は背が高く、でも筋肉質でがっちりした体型をしている。


目は鋭く、ちょっと怖い雰囲気を醸し出しているとの評判だった。


二人とも二十代、私だけ四十代、これじゃ私、引き立て役だよ。


新社長は舐めるように三人を見比べた。


私はずっと下を向いていた。


「三人ともさがれ」


そして社長室を後にした。

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