第3話

しばらくすると、秘書室にいた二人は総務部にやってきた。


そして私は部長に呼ばれた。


「花園、お前今から春日部社長の秘書だ、社長直々の仰せだ」


嘘、信じられない、私は秘書課の二人の憎しみの視線を浴びた。


私は机を整理して、社長室に向かった。


ドアをノックすると、中から「入れ」と社長の声がした。


「失礼します」


「花園かすみと申します、秘書は未経験なので、ご指導よろしくお願いします」


「ユリエ、こっちこい」


私は社長の言葉に戸惑いを隠せなかった。


ゆっくり、顔を上げると、目の前にいたのは新堂健斗。


「健斗さん」


彼は口角を上げてニヤッと笑った。


「どうして?」


「俺の表の顔は春日部拓真、新堂健斗は裏の顔だ、お前も昼間の顔は花園かすみ、夜の顔はキャバ嬢ユリエだろ」


「あのう、私は辞めさせられるんでしょうか」


「なんでだよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る