第53話

「親父さんは元気かね、よくこの商店街に足を運んでくれたんだが、最近ご無沙汰だから心配してたんだよ」


「入院したんで、自分が社長を就任しました」


「そうだったのか、実はビル建築でこの商店街は立ち退きを迫られている、直接社長さんに会えたのも何かの縁かもしれない、この商店街が立ち退きしないで済むようにならないかね」


「約束は出来ませんが、皆さんのご意向に沿うように検討させていただきます」


彼はそう言って商店街をあとにした。



マンションに戻ると、早速東條さんに電話で指示を出していた。

食事が終わると、彼はしばらく自分の部屋から出てこなかった。

深夜零時を回っていた、私は彼の部屋に様子を見に行った。


「蓮さん、まだお仕事終わりませんか」


「あ?っ、先に寝てくれ」


「わかりました」


彼は朝になってもベッドにはこなかった、部屋に入ると、彼はイスで眠っていた。

彼の寝顔をしばらく見ていた。

彼が目を覚まし、私に気づくと、目を逸らした。

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