第47話

「ご主人、鏑木建設社長だろ」


「なんで知ってるの?」


「テレビ中継見てびっくりしたよ、美希すげえ綺麗だったから、十年経ってるとは思えなかった、あいつと別れて、やり直そう」


「そんな気ないから」


私はその場をあとにした。

お茶なんてしちゃって後悔した、でもこの時はっきりわかった、鏑木蓮を愛していると……

ちょっと後ろめたい、彼にちゃんと話した方がいいよね、迷った挙句彼に話すことにした。


「お話あるんですが……」


「何?」


「昼間、以前お付き合いをしていた男性と偶然会って、お茶しました。やり直そうと言われたのでちゃんとお断りしました」


彼は私の話を聞き終わると、深呼吸をして私に尋ねた。


「なんでお茶した?」


「久しぶりだったので、ただそれだけです」


「やり直そうって言われたんだ、美希が結婚してることは話したのか」


「はい」


「もう、お茶したりするな いいな」


「ごめんなさい」


彼は私を強く抱きしめた、そして耳もとで囁いた


「美希、前の男のこと、まだ好きか」

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