第六章 元彼との再会

第46話

「俺と美希の結婚指輪を買いに行く」


そう言って彼は私の左手の薬指に触れた。


「指輪はめたら一生俺のものだぞ」


彼は私の左手の薬指にキスをした。


私は、この幸せがずっと続くと信じて疑わなかった。




ある日、買い物に出かけた先で元彼に会った。

十年ぶりの再会である。


「美希、久しぶり、十年ぶりかな」


声をかけてきたのは、元彼の飛鷹 劉だった。

劉は十年経っても相変わらずかっこいい、当時のことが走馬灯のように甦る。


「時間あるならちょっとお茶しない?」


お茶くらいならいいよね。


「うん、ちょっとなら」


劉は私の左手の薬指の指輪に気づき


「結婚したの?」


「うん」


私も劉の左手を確認すると指輪はしていなかった


「劉は結婚は?」


「美希と別れてから誰とも付き合ってない、美希と別れて後悔したよ」


思いがけない言葉に動揺を隠せない、私と別れて後悔したなんて……


「美希、もう一度やり直せないかな、俺たち」


「何を言ってるの?もう遅いよ、私結婚しちゃったし」

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