第35話

今まで結婚会見をテレビで見ていた私が、テレビに出るなんて、あ?っ大変なことを言ってしまったと後悔した。


「蓮さん、あのう、私留守番してます」


「なんで?主役いない会見なんて聞いたことないぞ」


「主役は蓮さんじゃないですか」


「皆、鏑木建設社長夫人を見にくるんだぞ」


「どうしよう」


「どうもしなくていいから、俺の隣にいればいい質問には全て俺が答える、大丈夫だ心配するな」


彼はいつも冷静で頼もしい、彼に着いていけば私は幸せになれると確信した。


テレビ中継が入り、会見が始まった、質問は全て彼が答えてくれた。


このテレビ中継を、私の元彼が見ていた。

これから始まる思いもよらぬ出来事を、私は知らずにいた。



私は会社を退職し、そして鏑木蓮と結婚した。

今までと違うことは一緒に出社していたが、私は彼を見送り、家事を熟す、そして夕食の支度をして彼の帰りを待つ生活に変わった。


彼は社長就任後とても忙しい、しかし必ず抱きしめてキスをしてくれる。

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