第30話

彼は不機嫌そうな表情だった。


「おい、秘書以上の関係を感じるが、俺の勘違いか」


「藤城は俺の命より大切な存在だ、指一本も触れることは許さない」


「わかったよ、でも俺とのデートを彼女が望んだとしたら?」


「絶対行かせない」


「はあ、本気か?」


「本気だよ、藤城は誰にも渡さない」


「わかった、わかった、首輪でもつけておくんだな」


早川社長は社長室をあとにした。


命より大切な存在って、彼の言葉に心臓が破裂しそうな感覚に陥った。

彼は私に近づき私を見つめ抱きしめた。


「美希、俺はお前が大切だ、俺の命と引き換えてでも守る、誰にも触れさせたくない、悪いが、美希が他の男のところに行きたいと思っても許可出来ない、覚悟してくれ」


彼は私にキスをした。そして……


「俺のマンションに引っ越してこい」


真剣な眼差しに私は頷いていた。



「おはようございます、朝食出来ました」

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