第12話

「そういえば、お前はどこからきたのだ」


そう言われて、我に帰った。


信長様の元を黙って出てきてしまった。


心配しているかな、絶対に怒鳴られるなあ。


「あのう、信長様の城でお世話になっていました」


その言葉に信玄は顔いろを変えた。


「お前は織田信長の女か」


「違います、怪我をしたところを助けて頂いただけです」


マミの脳裏には信長との熱い抱擁が蘇った。


その時、信玄の家臣が慌てて信玄の元にやってきた。


「恐れながら申し上げます、織田信長がお館様に御目通り願いたいと申しております」


「なんだと、織田信長が……」


なんで信長様がここに……


マミは信じられないと言った表情を見せた。


信玄の答えを聞かないうちに、信長はずかずかと城内に入ってきた。


「マミ、マミはおるか」


「信長様?」


信玄の傍らに寄り添っているマミの姿を見つけて、信長の表情が変わった。

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