第11話

「お館様、どちらに行かれるのですか」


信長にそう言葉をかけたのは秀吉だった。


「信玄の元にマミを迎えに行く」


「失礼ながら、マミは自分の意志で武田信玄の元に向かったのであれば、迎えに行く必要はありませぬ」


「このまま、信玄の女になっても構わぬと言うのか」


「マミの意志なら、迎えに行っても帰ってきません」


「力づくで連れ帰る」


信長は馬を走らせた。


「お館様、お待ちください」


しかし、秀吉の言葉は信長には届かなかった。


その頃、信玄の元で、甘い言葉を囁かれたマミは蕩けそうな表情をして、信玄の傍らに寄り添っていた。


「マミ、お前は美しい、お前を離したくない」


「信玄様」


「ずっと、私の側で使えるのだ、良いな」


「はい」


マミはぐっと腰を引き寄せられた。


「ああ、信玄様」

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