第二章 武田信玄に抱かれたのか

第10話

「大丈夫です、私の方こそすみませんでした」


「いつも信玄様は女性に甘いんですから」


信玄様?さっきもそう聞こえたけど、まさかと思っていた。


でもまた、言ったよね、はっきり言ったよね、信玄様って。


「武田信玄様ですか」


「そうだが、どこかでお会いしましたか」


「私、信玄様が大好きです、ずっとお会いしたかった、夢が叶って嬉しいです」


「それは光栄です、もしよかったら私の城に招待したい、これからご一緒にいかがですか」


マミは「はい」と即答した。


信玄は女性に優しい、甘い言葉を囁くのはお手のものだ。


容姿淡麗、甘いマスク、蕩けるような言葉、全ての女性は信玄を好きになってしまう。


お供をしているのは真田幸村、女は苦手で、優しく出来ない性分だ。


マミは信玄と幸村と共に城に向かった。


その頃、マミの姿が見えないことに城内では大騒ぎとなっていた。


「マミはどこに行ったのだ」


信長はオロオロと落ち着きのない様子を見せていた。


まさか信玄に会いに行ったのか。


信長は「出かける、馬を持て」と家臣に命じた。

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