第9話

秀吉は誰にでも優しい、面倒見の良い性格だ。


マミの頬に涙の跡があることを秀吉は見過ごさなかった。


どうしても気になった秀吉はその足で信長の元に向かった。


「お館様、マミと何かあったのでしょうか」


「別に何もない」


「そうですか、相当動揺しているように見受けられたので、気になりまして」


「なあ、秀吉、マミは信玄が好きらしい、マミの気持ちを俺に向かせるにはどうしたらいい」


「ああ、そうですね、毎日好きだって言ったらどうでしょうか」


「そんなこと言えるか」


「ですよね」


秀吉は信長の座敷を後にした。


その頃、マミは信玄様にあって、このドキドキの正体を探るべく城下へ行った。


こんなところにいるわけないか。


「きゃ」


ぼーっと歩いていたマミは人とぶつかってしまった。


「おい、娘、信玄様にぶつかっておいてきゃはないだろう」


「幸村、お嬢さんに失礼だぞ、大丈夫でしたか、お怪我は?」


マミの顔を覗いた男性はにっこり微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る