第8話

「マミ」


俺ではダメなのか。


信長はマミに惚れた、しかしこの時靡かない女は深追いしないのが常なのだが、


どうしても諦めることが出来なかった。


マミは与えられた部屋に駆け込んで襖を閉めた。


息が上がってドキドキが止まらない。


キスは初めてではないが、こんなにもドキドキした経験はない。


しかも信玄様ならともかく、織田信長のキスにこんなにも胸が高鳴るなんて、


マミは自分の気持ちがわからなかった。


落ち着け、落ち着け、でも胸の鼓動は収まる気配はなかった。


その時、襖の外から声が聞こえた。


「マミ、どうかしたのか」


声をかけてくれたのは秀吉だった。


「入るぞ」


マミは秀吉に顔を見られたくなくて、背中を向けた。


「お館様と何かあったのか」


「何もありません」


「そうか、それならいいが……」

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