第5話

「あのう、武田信玄様はどちらにいらっしゃいますか」


信長の表情が変わった。


「武田信玄?」


「はい」


「お前、武田信玄の手の内のものか」


「違います、武田信玄様は私の憧れです、どうすれば会えますか」


「お前は武田信玄の女か」


「違います、一度も会ったことがないので、戦国時代にワープしたみたいなので、

このチャンスにあって見たいんです」


「お前、我が国の言葉を話せ、ワーなんとかとか、チャなんとか、なんだそれは」


そうか、この時代はまだ、横文字は使ってないんだった。


「え〜っと、私、遠くから来たので、まだ武田信玄様にお会いしたことがなくて、

是非お会いしたいんです」


「ダメだ」


「どうしてですか」


「お前はたった今より、織田信長の女だからだ」


「はあ?」


「俺の側に来い」


「いやです」

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