第一幕

第2話

「———判決。地獄行き」


コンと扇子で机を叩き、判決を言い渡す。

目の前の罪人の顔に絶望の色が広がり、それはすぐに怒りへと塗り替えられた。


「なんで俺が地獄行きなんだ!」


と喚きたてるのだから迷惑極まりない。

鬱陶しい。

今まさにその男に地獄行きを宣言した青年は、荘厳な造りの椅子に片足を乗せ、たいそう悪い顔でにんまりと笑っていた。


「何故お前が地獄行きなのかって?」


そんなのてめえの魂に訊いてみろ。


嘲るように吐き捨てて、青年は傍に控えていた秘書に目配せをした。

優秀な秘書は、それだけで青年の意図を読み取り、壇上の下で喚く罪人の男を取り押さえている極卒へ


「連れて行け」


と一言命じる。

かくして、最後の審判を受けた男は、極卒二人に引きずられながら裁きの間を後にしたのだった。


「………」


バタンと重たい扉が閉まる。

数秒の沈黙の後、青年はふうと長いため息をついた。

頭に雑に載せていた道士帽を取り、机の上へと投げる。

秘書が咎めるように眉を顰めた。

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