第4話 Sideカイト⇒ヘレナ⇒カイト
「カイトさまごきげんですね!」
「そうかな?なんか毎日が楽しくってね!」
「あっ、まって~」
「待たないよ~」
日課の早朝ランニングに、なんかリンも付いてくるようになった。
普通の5歳児なのによく起きれるね?リンも転生者?まさかね。
しかもこうして時々ダッシュしても普通に付いてくる。
何この子?と思ってよく見たら、なんか足に魔力を流して無意識に身体強化しているみたい。この世界の一般人はみんなそういう感じなのかな?そういえばありさとの5年ぶりの再会の時も抱きしめる力が強かったような…。
――Sideヘレナ
ついにお腹がぽっこり出てきてしまってとうとうカイトにバレた。
なんかいつもはのほほんとした雰囲気でいるんだけど、何かあるとすごく気を使ってくれる子だからバレたら一緒に魔法の練習できなくなると思って内緒にしてた。案の定、今日から実践練習無し!と言われてしまった。寂しい。もっと可愛い息子とイチャイチャしたいのに!
そんなカイトだけど、初めて町に行って他の女の匂いをつけて帰って来てから様子がおかしい。時々浮かれてると思って見守っていると本当に浮いてるように錯覚する時もある。錯覚だよね?護衛の騎士の報告ではまるで数年ぶりの再会を果たしたみたいに泣きながらミース商会の娘と抱き合ってたとか…まだ早くない!?
うーん、うちは上級貴族というわけでもないし相手が平民でもかまわないけれど、辺境伯家のほうはどうかしらね…。まぁソフィアを説得できれば大丈夫かな?
さっき夕食時に真剣な顔で「母上あとでお話があります」とか言ってたのはその話じゃないよね!?お母さんまだあなたとイチャイチャしたいのよ!?
コンコンコン
「母上、カイトです」
「入りなさい」
「失礼します」
やばい、すごい、すごく真剣な顔してる……デインがプロポーズしてきた時にそっくり。
「母上にお願いがあります」
「いきなりね、どうしたの?」
あぁ~!やっぱりだぁ~!せめてこのお腹の子が産まれるまではカイトと――
「6歳から12歳までが通う学校を作ってもらいたいのです」
「へ!?……学校?」なにそれ
「はい。朝登校して昼食を支給、午後はおやつ時に終了するという日程で、賢く強い子供達を作ります。将来のこの辺境の地に大いに力になってくれるでしょう。そして模範になるべく僕も入学します」
違った!よかった!けどうちの子すごい!
確かに普通は貴族は家庭教師を雇って教育して学園は13歳からだものね。平民には雇えないから字も読めない子も多いわ。でも、母にはわかるのよ。町に居る気になる子と一緒に過ごすためでしょう?しょうがないわね…。
「ダメ……でしょうか……」
「ううん、いいわ。学校作りましょう」
「ありがとうございます!」
「やっぱり無償でやるのよね?」
「はい、本来なら家業の手伝いとかしてると思うので、お金を取ると集まらないかと」
「そうね……まぁ資金なら魔物素材を売却した利益が沢山あるから大丈夫よ。なんならじいじにもっと頑張ってもらいましょ」
「あ!それでですね、このかばんを使って欲しいんです」
「なに?これはどういう――」
そのかばんには到底入らないような物を次々と取り出すカイト。さすがの爆炎娘ヘレナも放心してしまった。
「かばんの中を異空間に繋げる魔法を付与しました。なんならいっぱい作ってこれを売って学校運営資金の足しに…」
「い、いいわ!これがあれば今まで捨ててた素材も持って帰ってこれるし資金は十分よ!……このかばん、勝手に作って売ったらダメよ?」
(王家に目をつけられたらカイトをとりあげられるわ…)
「え?いまなんて――」
「とにかく!これをカイトが作れることは秘密にしましょ!」
「わかりました」
「じゃあ、来年からね?場所と指導員の手配はこっちでやっておくわ」
「はい、よろしくお願いします」
「うん。じゃあ今日はもう休みなさい」
「それでは失礼します。
……オヤスミナサイ」
最後に膝をついて可愛いくて
それにしても学校か…。いいわね。騎士や冒険者に育つにしても平民では満足に栄養も取れずに育つのがほとんどだし、それがみんなカイトを目指して育つならとんでもないことになるわ。
………………………………
――Sideカイト
あれから子供達のオオタニサンばりの体格育成計画をたてたり、指導員達と教育方針について打ち合わせしたり、給食担当さんと栄養素についてさりげなくおはなししたりしつつも、週一のアリシアとのデートは欠かさずにあっという間に6歳になりました。妹も産まれたよ。
俺はもちろん、一人だけ貴族として一線引かれるのもいやなので、黒髪黒目のカールとして入学。これで学校の日はアリシアと居られるね!
「かーくん、お待たせ!だいぶ待たせちゃったかな?」
「ううん、今きたとこだよ」
「ど、どうかな?」
「うん、似合ってるよ!すごく可愛い!」
「ふふっ、ありがと!かーくんもすごくかっこいいよ」
支給された制服に身を包み手を繋いで歩いていく二人。中身はともかく見た目は6歳児なので微笑ましい。この制服はカイト考案で魔物素材も駆使して頑丈にできており、平民ではちょっと着れないような豪華さとなっていた。孤児院の子達は栄養満点の昼食が出ると聞いて喜んで参加したが、中には農家などを筆頭に渋るところもあった。それでも支給される制服を見たとたん「いきたい!」と子供達のほうから猛アピールだった。どこの世界でもかっこいい・かわいい服に憧れるのだろう。そして子爵領都全ての6歳児が集まり、50人もの1期生を迎えたのである。ちなみにリンは、入学式の準備を手伝ってくれてるメイドさんと一緒に登校し手伝わされている。
「かーくんとまた学校に通えるなんて嬉しいな」
「うん、僕もだよ。楽しもうね!」
「そうだね!これは学校作ってくれた領主様に感謝しなくちゃ」
「う…うん、そうだね…」
――――――――
デイン・ランカスター(父上)18歳時のイメージ画像です。
https://kakuyomu.jp/users/black_hit/news/16818093085846020212
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