第2話
「カイトしゃまー!まってー!」
カイト4歳になりました。
普通にあちこち行けるようになったんだけど、ここお城でした!
豪華な感じじゃなく堅牢って感じなんだけど、戦争や魔物の侵攻があった時などは避難場所として町民を受け入れるらしい。
城内探検しながら騎士団の稽古を植木に隠れて見ていたら、魔法の流れ弾が真横を通過してドキドキしたり。
図書室に忍び込んで上の方の本を取ろうとよじ登ってる所をメイドさんに見られて母に怒られないかドキドキしたり。
なんてことをしていると、一緒に連れていれば無茶しないだろということでメイドさんの子供のリンがお目付け役に付けられました…。
茶髪のショートカットで同じ4歳。お目目がクリクリでかわいらしい。しかもドジっ子なのかすぐ転ぶ…。
おかげで二人で忍び足してもすぐ物音たててバレてしまうんだ。誰だ彼女を付けたの、なかなかやるな!
「リン、また転ぶからそんなに急がなくてもいいよ」
「カイトしゃまぜったいひとりにしちゃだめって言われてるもん!」
むん!っと薄い胸を張る彼女。
なんかいけそうな気がするから宙に浮く練習してみたいんだけどな…。
「そうなんだ。じゃあ一緒に行こうか」
「カイトしゃま、どこにいくの?」
「今日はお花を見に行こうかな」
「リンもみたーい!」
ホントは人気の無い裏手でこっそり天翔けるカイトしたかったんだけど、まぁいいか!
「♪~~」
ご機嫌のリンの後ろでこっそり浮く練習してたんだけど、できました!
これで夢が広がるぞとこっちもご機嫌でニマニマしていたら、さっきからお花にまとわりついて気になってた光の玉がこっちに突撃してきた!
え?なにこれ?もしかして精霊?
よし、リンの気が済んだら帰って精霊の本がないか調べてみよう。
………………………………
何もなかった…。図書室の本を全部調べるのに3ヵ月もかかってしまった…。
精霊といえばやっぱりエルフなのかな?エルフっているのかな?会ってみたい!
「カイトしゃま、キリリとした顔して本を見てるけど、読めるの?」
ん?あ、そうかリンはまだ読めないのか。
いつも一緒についてきて本を開きながらふんっふんっとか頷いてるからてっきり読めるんだと思ってたよ…。
「うん、本を読みたくて頑張って勉強したんだ」
ホントは女神様特典なのか産まれた時から読めたんだ、嘘ついてごめんね。
「リンもいつか読めるようにがんばる!」
よしよしと頭をなでてあげるとニコニコしながら体をゆすりだした。可愛いやつめ。この世界、教育ってどうなってるんだろ?やっぱり家庭教師なのかな?
………………………………
精霊のことはとりあえず諦めて今日は山狩りの日!ふっふっふ
父も母もじいじもおらず、騎士団も最低限残して出掛けるので人手が薄い!
しかも午前中リンをあちこち連れまわしたので疲れて昼寝してる!ごめんね。
「さぁ~て、めったにないチャンスだし攻撃魔法の練習してみようかな」
フレアソード家といえば炎使いで有名らしいので、ここは一発炎でいろいろ――
「ほう、こそこそしてるから何してるのかと思ったらそういうことか。まさかもう魔法使えるのか?」
――ひぃっ!!
「げえっ!兄上ー!?」
兄のギルバートは1つ年上の5歳。昨日父上と一緒に来てたんだったー!
第一夫人の子なので、正当な辺境伯家の後継者である。5歳児なのになんか貫禄あるよ?ちなみに第一夫人は元王女で現国王陛下の妹である。学園在学時に、その頃も仲良かった父と母2人に憧れてずーっとついて歩いてしまいには当時の国王陛下に王命で無理矢理……ではなく、泣付かれて2人が観念して受け入れたという経歴を持つ。本人は遠慮していたみたいだけど、王を泣かせるわけにはいかないということで第一夫人におさまりました。これがなければ辺境伯は自分達の息子に継がせることにして子爵家に婿入りするつもりだったとか…。
「げえっとはなんだ?まぁいい、内緒にしといてやるから魔法が使えるならやってみせてくれないか?」
金髪を揺らしながら蒼い目を細めてゆっくりと近づいてくる。
はぁもうしょうがないか…。
「では、炎の玉を飛ばしてみますね」
魔力をこめて炎の玉をイメージ……簡単に出たな!
これじゃ面白くないから温度をあげるっと、酸素を増やすんだっけか……むむむ~
「あたりまえのように無詠唱なんだな…。」
兄上がなんか言ってる気がするけど、集中!
よし、白炎になったぞ!とりあえずこれでいいか!
あそこの弓練習用の小山に向かって、えい!
ゴウッッ!!
「…………」
「…………」
あれおかしいな、土って燃えるんだっけか…。
「まずいまずいまずい!兄上どうしよう!?」
「どうしようっていったって…、とりあえず水?水ぶっかける!?」
「ぎゃー!水はダメ!爆発する!炎さん消えてー!」
あれ?炎消えたな…。そうか、魔法消せるのか!
でも地面が溶けてドロドロだよ…。
あ、なんかすんごい魔力がすんごい速さで近づいてくるよ?よく知ってる魔力だぁ…。
「カイト!?」
驚いた顔で現れた母上が冷や汗だらだらで直立不動の俺たち二人の顔を交互に見てからドロドロに溶けた地面をじーっと見て
「とりあえずカイトは部屋に戻っていなさい。
ギルは残って説明してもらうわよ」
「「はぃ」」
――Sideヘレナ
「で、どういうことなのかしら」
「カイトが魔法の試し打ちすると言い出して炎の玉を作ったのですが」
「カイトが魔法…、いつの間に…。」
「その、炎が白くなって――」
「え?白い炎!?何それかっこいい……じゃなくて!それでああなったわけね?」
「はい」
「わかったわ、ありがとうギル。もういっていいわよ」
まだ赤い地面をじーっと見る。
「白い炎はよくわからないけど、凄い威力ね。やっぱりうちの子天才なのかしら?私とデインの子だものそうよね、きっと世界最強の魔法使いになるわ!」
これからは私の監視の元で暴走させないように教えてあげなくちゃならないわね。
――Sideカイト
コンコンコン
「はい、どうぞ」
「カイトすまん!ああなってしまっては隠すことできなかった」
「兄上、いいですよ。母上にみつかってはどうしようもないです。頭を上げてください」
「ヘレナ母様恐いな…」
「怒らせると父上もお爺様もボコボコにされますよ…」
「ウルリック様まで……こ、ここにいるとヘレナ母様来そうなので部屋に戻るよ」
「はい」
「じゃあまた夕食時に……
……そういえばチャンスってどこの言葉?」
――へあっ!?
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