第4話
後日知ったが、エイミーは密かに門倉に恋をしていたらしい。
それを知った女性メンバーらが二人を接近させるために、その晩の集まりを企画したようだった。
やがて、門倉はエイミーの好意を知ったようだが、その後、二人が付き合った様子はない。
門倉はもしかしたら僕とエイミーのあいだを裂いたことで十分に満足したのかもしれない。
彼にそういう残忍な面があることを、周りの人間が誰一人見抜けなかったことが残念で仕方なかったが、おかげで僕が病的な被害妄想にとらわれていたのではないかという疑いが残る結末となってしまった。
僕らも卒業し、僕は二年ほどして音楽をやるという決心のもと上京した。
このときの悔しさも、その原動力になっている。
それから一度、サークル元メンバーの集まりがあって顔を出した。
エイミーはいたが、門倉は都合あって不参加だった。
エイミーが「話しませんか」といって僕のそばにやってきた。
今、神奈川にいるとのことだった。
当時僕は都内にいたので、いつのまにかかなり近所に居合わせていることが分かって僕は驚いた。
それで彼女に「今度一緒に遊びましょう」といわれたが、僕は全然気乗りしなかった。
僕は彼女をあきらめるために、自分をさまざまなリスクにさらすことで悲しみを紛らわせ、彼女とのことを完全に過去に捨て置く努力を払ってきたからである。
結局「うん」といったきりで、僕はその後居場所も連絡先も教えなかった。
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