10.魔法使いの中学生

第10話

ゆうきとまいの家の居間に、裸の女の人が映っている雑誌がありました。エロ本です。

「ゆうきー? こういうのは、二十歳はたちすぎてからじゃないとダメなのよー? それくらいわかってるわよねー?」

 まいはニコニコしながら、怒りのオーラを放っていました。

「ああそれ学校の帰りに、中学生から買ったんだよ」

「中学生?」

「そっ。姉ちゃんが通ってる私立中の隣の、普通の中学校のお姉さんが売ってたから、買ったんだ」

「へえー」

 と、うなずいてから。

「ウソおっしゃい! あんたこれ万引きしたでしょ!」

「ええっ? ち、違うよ?」

 驚いた様子のゆうき。

「だってあんたくらいの子がこんなもの手元に置いてたら、万引きしか考えられないわよ!」

 と、ゆうきの手を引きました。

「ほらついてきて! 今ならまだ間に合うわ。盗んだところに謝りにいくわよ」

「ちょちょちょ待てよ! 俺は本当に中学生から……」

 しかしまいは聞く様子もなく。

「ゆうき。頭悪いのはわかるけど、万引きはダメでしょ?」

 ゆうきはムッときて、

「むむう! 来いよ!」

 逆にまいの手を引いてやりました。

 住宅街に来ました。

「ほら。あれだよ」

 ゆうきが指さすほうに、まいは目を向けました。

「エロ本いらんかえー。エロ本いらんかえー」

 赤いスカーフに緑のスカート、襟といったセーラー服の女の子が、エロ本を掲げていました。

「なにあれ……」

 まいが唖然としました。

「あの人から買ったんだ」

「あ、さっきの少年! さっきは買ってくれてありがとね。誰も買ってくれなくてさ、困ってて。あと二冊残ってるんだけど、いる?千円だったけど、おまけで二冊とも五百円だよー」

 と、いつの間にかエロ本売りの中学生がいました。まいはびっくりしました。

「ほんとにっ? わーい! 姉ちゃん五百円ある?」

「ないんかい!」

 まいはツッコミました。

「じゃなくて、なんですかあなたは! 弟はまだ小学六年生なんです。そんなみだらなもの売らないでください!」

「君私立生?」

「あなたはお隣の普通生ですか」

「でも背小さいから、私のが年上かな? 私十四、中三でーす」

「中一ですけど。どのみちかしこさは私のが上よ」

 まいはニヤリとしました。

「私立生って、うぬぼれ屋が多いって聞くけど、ほんとなんだね」

「悪かったわねうぬぼれて!」

 まいは怒りました。

「ゆうきも返しなさいそんなもん。もう少し大きくなったら買えばいいから。ね?」

「やだよ。姉ちゃんよりおっぱい大きい人いるんだよ。えへへ!」

 このマセガキめ。まいはそう思いました。

 と、エロ本売りの中学生。

「あなたは金山まい十二歳。私立生の一年生。成績は学年で二位。読書が趣味で、その今着ている制服はお気に入りすぎて私服化している」

 続いて。

「そして君はまいちゃんの弟、金山ゆうき十一歳。普通生の小学六年生。鉄道マニア、いたずらとお姉ちゃんが大好き!」

「お、おう。よく知ってるな俺たちのこと」

 と、ゆうき。

「じゃないわよ! なんでそんな私たちのこと知ってるのよ! 初めてでしょ会うの!」

 あわてるまい。

「あんた! なにもっ……」

 と、まいは言葉を詰まらせました。

「なに、これ……」

「お、おい姉ちゃん? なんか頭に浮かんでくる!」

 二人は同時にその頭に流れてきたことを言いました。

「私は石丸月菜いしまるつきな十四歳、中学三年生。気軽に月ちゃんって呼んでね」

「ふっふーん。そして私は、魔法使いなのだ!」

 月菜は、拳を空に掲げました。

「超能力者じゃなくて?」

 ゆうきが聞きました。

「ブッブー! それはスプーンを触れずに曲げることができる人のことを言うんだよ」

「いや、そうだけど」

 月菜は説明しました。

「うちの先祖がね、大昔、イギリスで魔法石を見つけたことをきっかけに、我が石丸家は、魔法使いになることができたんだ」

「魔法石? なんじゃそりゃ?」

 ゆうきが聞きました。

「さあ? イギリスの山の中で見つけたとかかんとか」

「ふーん」

「いいやゆうき。これはなにか裏があるのよ」

 まいが月菜をにらみました。

「場合によっては、通報するからね?」

「姉ちゃん落ち着けって。悪い人には見えないだろ」

「世の中ね、いい人に見える人ほど、悪いのよ! わ・か・る?」

「中学生らしからぬことを……」

 ゆうきは呆れました。

 ふと、前を見ると、月菜がいません。いつの間にいなくなっているので、まいとゆうきはキョロキョロあたりを見渡しました。

「上を見ろ!」

 月菜の声がして、上を見ました。

 月菜が、電柱の頂点に立っているじゃありませんか。まるで、スーパーヒロインのように、腕を組んでまっすぐに立ち、まいとゆうきを見下ろしていました。

「あわわ!」

 二人とも驚きました。

「カモーン!」

 と言うと、月菜の元に、ほうきが飛んできました。それに飛び乗って、スイスイまわりを飛び回りました。セーラー服を着ている中学生が、魔女のようにほうきを乗りこなしていました。

「は~れ~……」

 まいは気絶してしまいました。倒れるところを、ゆうきに抱えられました。

「よっと」

 ほうきからゆうきたちの元へ、着地しました。

「ほら。これでも魔法使いだと信じない?」

「い、いやあまさか魔法使いに会えるなんて思わなかったなあ」

 まいを抱えたまま、感心するゆうき。

「はい魔法の杖。あげる」

 袖から出した星が付いた白い細い棒を、ゆうきに渡しました。

「えっ?」

「それでほうき呼んだり、魔法が使えるんだけど、魔法飽きたからあげるわ」

「ええっ? いや、そ、それいいのかよ!」

「ぜーんぜん」

「いや、でも……」

 ためらうゆうき。

「魔法使うより、カツアゲのほうが楽しいし」

「いや、そっちのがいけないから!」

 しかし、月菜は手を振りながら去っていってしまいました。ゆうきは魔法の杖と、気絶したまいを抱えたまま、呆然としていました。


 家に戻って、居間で魔法の杖をながめました。

「魔法が飽きたなんて一生かかっても言えないわよ」

「ねえねえさっそく魔法の杖でなにかしようぜ」

「魔法の杖なら私が試すわ」

 というのも聞かず、ゆうきは魔法の杖を取り上げました。

「姉ちゃんの胸をうーんと大きく……」

 まいはゆうきにげんこつをくらわせました。

「だから! 私が試すっていってんでしょ? あんたが使ったら、ろくなことないんだから」

「じゃあ俺を女にして」

「はあ?」

「一度女体化してみたかったんだ。ねえいいだろ?」

「そうね。じゃあお菓子一年分にしましょう」

「……」

「じゃあ二人の叶えておあいこだ」

「チッ。わかったわよやりゃいいんでしょやりゃ」

 と、怒ってから、まいは咳払いをしました。

「ゆうきを、女にしたまえー」

 適当に魔法の呪文を唱えました。

「なにも変わらないわね」

 ゆうきはいつも通りの姿でした。試しに、股を蹴ってみました。すごく痛がりました。

「なーんだ。やっぱり魔法使いだったってのは、でたらめだったのね」

「そうね。お股が痛いものね……」

 と、ゆうきが言いました。

「は?」

「あら? え、ちょ、やだ! あたし女口調になってるーっ!」

 ゆうきは、女口調であわてました。

「ちょっとーっ! お姉ちゃんあたしになにかしたあ?」

 まいの肩をゆすりました。

「し、知らないわよ! 魔法のせいじゃないの?」

 ゆうきを離しました。

「ちょっと、テレビつけて」

 まいは、テレビをつけました。イケメンが映りました。

「きゃっ♡男の人って、す・て・き♡」

「ひい~!」

 イケメンを見てうっとりするゆうきを気持ち悪く思い、すぐに魔法の杖を振りました。

「おい今マジで心が女だったぞ」

 元のゆうきに戻りました。

「こりゃすげえや! めちゃくちゃ使い込まなくちゃ!」

 と言って、ゆうきは魔法の杖を持ち去っていきました。

「あ、こら待てーっ!」

 と、そこへ。

「きゃっ!」

 まいは、廊下でバナナの皮ですべりました。

「いたた……。あいつめ~、さっそく魔法を使ったわね」

 まいは立ち上がりました。

「ゆうき! あんたなんて、魔法の杖があろうと、つかまえてやるんだから!」

 グオーッ!

 うなり声がしたので見ると、コモドオオドラゴンが玄関にいました。まいを見ると、すぐに追いかけてきました。まいは、すぐに逃げました。これも、ゆうきの魔法のしわざでした。


 魔法の杖を手に、ゆうきは道路にかかっている橋を歩いていました。目の前に、かわいい女の子が歩いてきました。

「シメシメ……」

 ニヤニヤしながら、女の子の前に立ちはだかりました。

「じゃーん!」

 ゆうきは、女の子の前で、自分のズボンを下げました。おちんちんが、丸見えになりました。

「きゃーっ!」

 かわいい悲鳴を上げる女の子。

「おしっこジャー」

 さらに、ゆうきは女の子の前で、おしっこをしました。

「変態~!」

 女の子は逃げていきました。

「はっはっは! 魔法使いになったゆうき様は、かわいい女の子の前で立ちションができるのだ! あ、手にかかった」

「弟君?」

 まなみの声がしました。いつの間に、目の前にまなみがいました。

「ダメだよ道の真ん中でおしっこしちゃ」

 笑いました。

「わわ、悪かったな! で、でも今日の俺は、最強だもんね」

 照れながらズボンを上げるゆうき。

「最強?」

「じゃーん! 魔法の杖~」

 と、まなみの前に、掲げてみせました。

「うふふふ! あははは!」

 まなみが笑いました。

「なにがおかしい!」

「弟君、まなみ中学生だよ? そんな子供だましにだまされるわけないじゃん」

「まなみの胸よ、大きくなあれ!」

 と、魔法をかけました。まなみの胸はあっという間に、巨乳になりました。

「す、すげえ。いつものぺったんこな胸が、メロンみたいにでかい……」

「胸戻してくれる? 服きついの」

「下着がないから、これは生だ、生おっぱいだあ!」

 と、顔をうずめようとした時。

 ゴチン!

 まいにげんこつされました。そして彼女は、まなみの胸を元に戻しました。

「こういうこったろうと思ったわ」

「ね、姉ちゃんトカゲは?」

「はあ? あんなもん生肉投げまくったらどっか行ったわよ」

「そんなのアリ?」

 まいは、まなみに魔法の杖のことを話しました。

「へえー。そんな中学生がいるんだね」

「あっさり信じるのね」

「そりゃまあ、おっぱいが大きくなったし、第一に小説の世界だし」

「とにかく。この杖は返すわよ」

「えー? もらい物だよ?」

「持ってたってろくなことに使わないでしょ? それに、小説だろうがなかろうが、ここは現実の世界。魔法なんてなくても、十分すぎるわ」

「俺がいるんだよ~」

 さらにゆうきは言いました。

「どこぞのマンガみたいにさ、新世界の魔法使いになるって!」

「あんたは新世界のバカにでもなればいいわ。ていうか小学生のくせになんでそんなものまで知ってんのよ! あんたほんとマセててるわね!」

「いやそんな怒られても……」

「ねえ。まなみをヤンキーにして」

「え?」

 二人とも、まなみに顔を向けました。

「まなみ、一度ヤンキーになって、オラオラって言ったり、盗んだバイクで走り出してみたいの。ねえお願い」

「ヤンキーはただのわるだよ。やめときなよ」

 ゆうきが言いました。

「魔法の杖でしょそれ。やばかったらなんとかできるじゃん。ねっねっ」

「どうする姉ちゃん?」

 まいは考え込みました。なぜなら、まなみはゆうきと違って、一度言ったことにはしつこいので、なんとか最善を尽くしたいと考えているのです。というのも、月菜の魔法の杖は、ゆうきを完全な女にしなかったし、オオトカゲが出るし、ろくなものじゃないから、信用ならないのです。

「わかったわ。まなみの言うことよ、叶えてあげる」

「ええ?」

 ゆうきが当惑しました。

「しかたないでしょ。あんたもこの子の性格わかってるはずよ」

 まいは、まなみに魔法の杖をかけてあげました。

 キッ!

 まなみがするどい目をしました。普段見せない、まるで狼が獲物を狙うような目です。二人はびっくりしました。

「オラオラア! バイクはどこじゃい!」

 普段言わないようなことを、まなみは口にしました。

「お?」

 まなみが目にしたのは、家の前に停まっているオートバイでした。その近くで、ライダーがタバコを吹かしていました。まなみは、そのライダーの元へ、歩み寄りました。

「おっ。お嬢ちゃんどうしたい? 俺のバイクにホレたかい?」

 ライダーがまなみにウインクしました。

「オラッ!」

 まなみはライダーの股を蹴りました。ライダーはもん絶しました。そのスキに、まなみはオートバイを吹かして、走り去っていきました。

「ま、まなみ~」

 まいはまた気絶しました。倒れる時に、ゆうきに抱えられました。

「やばい……。まなみがオートバイに乗っちゃったよ……」

 そこへ。

「どったのー?」

 ほうきに乗って、月菜がやってきました。

「月ちゃん助けて!」

「おっ。そう呼んでいただけて光栄です」

 ゆうきは月菜にすべて話しました。


「なるほど。オートバイに乗ってねえ」

 ほうきで空を飛びながら、月菜が言いました。その後ろに、ゆうきとまいが乗っていました。

「疾走だけに、"しっそう中"!」

「落ちないわよね? 落ちないわよね!」

 まいはブルブルと震えながら、ゆうきにしがみついていました。

「すげえー! こんな経験めったにないよ」

 まいと違い、ゆうきはノリノリでした。高い所が好きだし、ほうきで空が飛べるからです。

「もっと高く飛んでもいいよ。これじゃ団地と同じ高さじゃん」

「いいの? まあ、雲の上くらいまでなら飛べるけど」

「ダメダメダメ! 絶対ダメよそんなことしちゃ!」

 まいがあわてるので、ユラユラとほうきが揺れました。おかげでゆうきと月菜は落ちそうになりました。

 ようやくまいが落ち着いたところで、月菜はこんな話をました。

「二人さ、なんであたしがカツアゲしてたかわかる?」

「はあ? それ聞くことなの?」

 まいが呆れた様子で聞きました。

「もちろん」

「家が貧乏だからじゃないの?」

 と、ゆうきがなんのためらいもなく言いました。

「バカ! それ言っちゃ……」

 と、まいが注意しようとして。

「そうね。やりたいだけって言ったら、正直な気持ちになるんだけど」

 続けて。

「あたしがカツアゲをする理由はね、なんでも魔法に頼りたくないからよ。あたしは物心ついた時から魔法使いだったから、魔法使いじゃない君たちがうらやましいんだ」

「なんでよ? 魔法使いのほうが、いろいろ楽だと思うけど」

 まいが言いました。

「まいちゃんはどうして勉強が好き?」

「え? ま、まあ知らなかったことを知ることができたり、解けなかった問題が解けた時の達成感がよかったり。勉強をすることで、自分のレベルが高まっていく感じとかが、好きな理由なのかも」

「私立中学に行きたかっただけで猛勉強してたくせに……」

 と、唖然とするゆうき。

「そう、それ! あたしが求めるのはそれよ。魔法はね、杖を振ればなんでもできちゃう、いわばスマホでちゃちゃっとなんでもできちゃう的な? 自分で事を成すことで、得られるものがある。その価値は、なに者にも勝らないって、思うんだ。それが、カツアゲをする理由よ」

「納得」

 ゆうきが納得しました。

「でもカツアゲはないんじゃない? 第一、本はどこで手に入れたのよ?」

「あたし未成年者だし、魔法でちゃちゃっと!」

 月菜はウインクしました。

「言ってることが矛盾してるぞ……」

 まいは呆れました。

 街が見えてきました。オートバイがブンブン吹かす音が聞こえます。

「あれかしら?」

「あれよ」

 まいが言うと、月菜は街へ急降下していきました。

「オラオラア!」

 と叫びながら、まなみは盗んだオートバイで街をかけめぐっていました。フルスピードでした。警察がパトカーで追ってきました。

「チッ」

 舌打ちすると、まなみはバズーカ砲を出しました。そしてパトカー向けて、撃ち放しました。パトカーは全壊しました。

 大破したパトカーを見て、まいとゆうきは空飛ぶほうきから、呆然としていました。

「魔法だもの。思えばなんでも叶うわ」

「うわっはっはっはっ!」

 まなみが高笑いしました。

「早くなんとかしなさいよーっ!」

 まいが月菜の胸倉を掴んで揺らしました。

「まなみが刑務所に連れてかれちゃう!」

 ゆうきもあわてました。

「任せなさいや!」

 月菜はセーラー服の袖から、魔法の杖を出しました。

 街は火の海になりました。まなみがさんざんバズーカ砲を撃ちまくったせいです。

「!」

 オートバイで疾走中、まなみは立ちはだかっているまい、ゆうき、月菜を見つけ、止まりました。

「お嬢ちゃんここまでよ! 天下の魔法使い月ちゃんが、この杖で……」

 バーン!

 魔法の杖に、銃が撃ち込まれました。

「ふっ」

 まなみは銃口から出てくる煙を吹いて払いました。

「月ちゃん? もう一本ないの?」

 ゆうきが聞きました。

「あるよ」

「じゃあそれ使って!」

「ごめーん。それ今家なの」

「じゃあないじゃんか!」

「どうしよう……。もう昔のまなみには戻ってくれないの?」

 まいの目から、涙がこぼれました。風で前に飛んでいきました。その涙のつぶが、まなみのほおに、当たりました。

「あれ? ここはどこ?」

 まなみの表情が元のほんわかした感じになりました。彼女は、元に戻ったのです。

「まなみーっ!」

「うわっ」

 まいは、まなみを抱きしめました。

「よかった。よかったよ~」

 まいは泣きながら、まなみをずっとずーっと抱きしめていました。

「ほんとはとろくさそうな子ね」

 月菜がまなみを見て言いました。

「まあな」

 ゆうきがうなずきました。


 まいたちは公園に来ました。

「ほら。これで魔法がどんなに危険なものかわかったでしょ?」

「ああ。しばらくは魔法はこりごりだぜ」

「まなみも」

「まいちゃんも。わかったなら返事するかうなずいてね」

「元はと言えばあんたたちのせいでしょ!!」

 まいは、ブチギレました。

「もう怒った! あんたら全員、メロンパンにして食べてあげる」

 と言って、まいは魔法の杖を月菜から取り上げました。

「え、ちょっと……」

「問答無用!」

 と言って、まいはゆうき、まなみ、月菜の三人を、一つのメロンパンにしました。

「モグモグモグ!」

 メロンパンを早食いしました。

「え? やだ、これ逆流してる!」

 食べたメロンパンが、逆流してきた。

「しか、も……。鼻から!?」

 痛みが半端ない……。

 数分後、ゆうき、まなみ、月菜が出てきました。鼻血だらけで。まいは鼻血をダラダラ流しながら、

「魔法なんていやーっ!!」

 という悲鳴を、空高く響かせました。

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